絶縁診断とは?

一言で言うと、電力機器の健康診断です。

弊社が主に取り扱っている、高圧の回転機(発電機や電動機)について、 高圧コイル絶縁物の吸湿・汚損状態や劣化状態を電気的試験により診断する技術です。

絶縁劣化により、コイルとスロット出口付近で地絡焼損

表面汚損トラッキングによるアーク痕(白マジックで図示)

(回転機の絶縁診断のはじまり)

戦後の経済成長期、日本の主要発電であった水力発電所の水車発電機において、突発焼損事故が増加し、また、その経過年数より機器更新時期の見極めが重要視されるようになりました。そこで当時、国の出先機関であった(財)電力中央研究所(現在は一般財団法人)が研究を始め、電気的試験による絶縁劣化診断技術を確立しました。平成となった現在でも、様々な診断技術の研究が進められています。

よくある質問

Q1.絶縁診断に統一された基準はあるの?

A1.用語の定義・試験理論等でJEC規格があります。
しかし、絶縁物の種類・構成・製作方法等はメーカーにより様々で、絶縁に対する考え方もまちまちです。
電中研の研究結果を基に、各メーカーも独自に研究を進め、結果、試験電圧や試験方法も異なる部分があるため、統一された判定基準はありません。

Q2.低圧機器は絶縁診断できないの?

A2.できないことはありません。が…
確かに、絶縁抵抗測定や直流試験(PI測定)等で絶縁物の吸湿・汚損状態はある程度把握できます。しかし、劣化状態までは正確にわかりません。これは、低圧機器の絶縁が簡素化され薄いことと、汎用機器が多い等で重要度が高圧機器と比べると、それほど高くなかったことから、研究が進まなかったことによります。

(低圧の固定子コイル)

コイルはエナメル線が主流。
スロット内対地絶縁もノーメックステープ程度で絶縁厚さが薄い。

Q3.絶縁診断で機器の寿命はわかるの?

A3.わかりません。
人間でも健康診断の結果で寿命がわからないのと同じです。
確かに、電中研の研究や、一部のメーカーでは余寿命評価を行っているところもあります。しかし、絶縁診断はあくまで対地間絶縁についての診断技術で、相間絶縁あるいは層間絶縁については適応しません。
どんなに診断結果が悪くても、長生きする機器もありますし、逆に全く診断結果で問題がなくても、層間短絡事故(時には相間短絡や地絡事故)で焼損することがあります。あくまで、統計上でのリスク管理であります。

Q4.絶縁診断を行うメリットは?

A4.計画的な保全計画ができることです。
高圧機器は例えば焼損事故の場合、コイル巻替となると修理期間だけで1~3ヶ月以上と長期に渡り、設備停止によるコスト、修理コスト、また波及事故等が懸念されます。定期的に診断を行うことで、その傾向からオーバーホールの時期や更新の時期の予定が立てやすくなり、複数台実施すれば、その優先順位もわかります。
また、オーバーホール前後で診断を実施すれば、その整備の効果も把握できます。
壊れてから修理する「事後保全」ではなく、壊れる前に対策をとる「予知保全」と言えます。

(高圧固定子コイルの巻替修理風景)

絶縁診断車による現地試験風景

*試験時間は1台(4試験)あたり20~30分程度です。(前後作業時間含まず)

(車内での測定風景)

(電圧印加・測定は車内で行います)

最新の測定器と弊社開発の診断帳票ソフト(共に2012年7月更新)により、測定データは自動でパソコンに取り込まれ、過去データとともに「診断カルテ」として保管されます。(判定も即座に行うことが可能です。)年間実績:平均200~350回・20年以上。データベース登録数3000台以上の診断経験より、的確な所見を導きます。(共に2012年7月現在)

【安全管理】

  • ●着工前に遮断器はじめ関連する電源切を確認し、盤面に操作禁止札(感電防止)を表示します。
  • ●試験時は現場の立入禁止養生を行い、監視員(現場試験員)を配置し、第3者の侵入による感電事故防止を図ります。
  • ●車内試験員と現場試験員とは無線で連絡を密にします。
  • ●インターロック(非常停止スイッチ)により現場で即座に電源遮断できるとともに、直流/交流の印加が表示され、パトライトと連動します。
    (インターロック解除ができないと車側で電源は入りません。)
  • ●車内の高圧印加部分は全てアクリル扉内にあり、電圧印加中に誤って扉を開けると、電源遮断され、また、扉開状態では電源が入りません。
    (扉インターロック機能)
  • ●現場試験員が回路に触れる際は、非常停止インターロック・検電・接地放電の手順を遵守します。